端的に言うと、全国各地に飛んでって、現地でなんか適当に喋ってくるという仕事をしています。どんなことを喋るかというとまぁ「うちの商品いいでっせ」という感じでしょうか。時に嫌らしい目付きで、下卑た微笑みを浮かべながらお客さんに擦り寄るのです。時には汚い仕事もしますよ、僕の身体なんていくら汚されようと会社としては構わないんでしょう。脂ぎった中年男性に、人身御供よろしく差し出されたりなんて哀しい夜もありました(一晩中、泥団子をぶつけられるんです)。まぁそんなわけで色々な場所に行っているんですが、先日、とある北の地で現地の営業さんと待ち合わせまして、いざお客さんのところに向かう車の中での出来事です。そこはまぁいくら適当に喋るとは言っても、それなりの予備知識なんかを仕入れておかないと笑いの一つも取れませんので、この車中での打ち合わせは非常に重要な意味を持ちます。んで、僕の問いかけに対して返ってきた答えが「今からいくところの職員が、先週でしたか、婦女暴行で捕まりましてねぇ」これでどうしろと。「流石に速攻で箝口令がしかれましてね。マスコミ関係には隠せたんですけど、あれですわ。インターネットとか恐いですねぇ。速攻で漏れちゃってまぁ大変ですよ」だからその情報を仕入れて俺にどうしろと。「いやー凄い時代になりましたねぇ」え、あ、うん。「僕も速攻で誰が犯人か調べちゃいましたもん」いやー、あ、そうですか。「あぁこの話、完全にタブーになってますんで」えぇ、そりゃそうでしょうね。「なので、あんましこっち系の話は、今日は盛り込まんで下さい」なんかいま凄いこと言われた気がする。