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そういえば去年も参加してたんだった。

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「折衷案がある筈だろうが」
「でも残念ながら、こっちは譲歩する気がないのよ」



平行線って奴は綺麗なもんだ。交わりがないってのは美しい。線が交差しちまったら例えばそこには角度とかが生まれるんだろうけど、世の中には分度器って奴があるわけだし、そしたらどっかの無粋な奴が測ってみたいとか思ってもおかしくないだろう?面白くない話じゃないか。でも何よりも怖いのは当事者である俺等が測りたくなっちまった時なわけで、残念ながらそいつは多分、恐ろしく魅力的なものに思えてしまうんだろう。そりゃ怖い。だったらまぁ交わらないに越した事はない。



「それじゃこうしよう。あいうえお作文」
「は?」
「だから一文字ずつね。言うよ」
「間違いなく、こっちが求めているものを抹殺しようとしてるよね」
「いいじゃん、頼むよ」
「だから譲歩する気はないんだって」
「でもまぁ、こっちとしてもここらへんが限界だよ」
「低い限界だなおい」
「結果が同じなんだから良いじゃない」
「違うっつーの」
「そもそも、わざわざ言う意味がない」
「滅茶苦茶あるっつーの」



糞食えって言われて拒んでも誰も文句を言わないくせに、息吸って吐けって言われて拒んだら誰かが異常だとか言いやがる。人によってはそれが糞みたいに感じてるだけの話じゃないのか。価値観ってのは当たり前だけど相対的なもんで、そいつは誰もが理解してることなんだけど、そいつと感情を闘わせて勝てる奴なんてあんましいない。誰かが簡単なことじゃないとか言う。そりゃ君にとっては簡単なことなんだろう。でも簡単な程に難しいこともあるんだ。



「ちょー!」
「はい、ちょー!」
「ちょっと一杯のつもりで飲んでー!」
「色気なさすぎ。やりなおし」
「はぁ?内容まで求めてくるわけ?」
「この要求は当たり前すぎんぞ、この野郎」
「お前なぁ。俺がこの言葉にどれだけの思いを詰めたか」
「いつのまにやらハシゴ酒でか。随分と酒臭いモン詰めたな」
「仕方ねぇなぁ。ちょー!」
「はい、ちょー!」
チョークスリーパーで落としちゃえばやりたい放題ー!」
「喧嘩売ってんのか、お前」



まぁ実際の話、ビビって踏み出せない奴が目の前にいるだけの話なんだし、それだったら本当に絞め技で落として好き勝手やってやっても良いんじゃないかと思うよ。時々ね。さすがにやられたら怒るだろうけど、何かを変化させたいんだったら。ただし必死に逃げるよ。こっちはビビって踏み出せずにいるんだから。



「こー!」
「はい、こー!」
「交尾は交尾でもロマッチックな奴ー!」
「無理。その単語にその性格付けは出来ない」
「えー、出来るって。要は想像力だって」
「無理。その想像力は必要ない」
「仕方ねぇなぁ。こー!」
「はい、こー!」
「恋に破れて壇ノ浦。きっと見えるさ黄泉の国」
「不吉さが直接的すぎる。もう一回」
「えー、この場をくるんでる雰囲気を一生懸命に詩でさぁ」
「やっぱり喧嘩を売ってるんだな、お前は」



そういえば絞め技で思い出したんだけど、落ちる瞬間って物凄い気持ち良いって話は本当なの?こんだけオリンピックだ何だと柔道とかが繁栄してる世の中なんだから本当のところを知ってる奴もいると思うんだけど、でも身の回りにそんなこと言ってる奴が一人もいない。たぶん嘘なんだと思う。練習中や試合中にビビらないようにさせるための。じゃなきゃ絞め技風俗店とかあるはずだもん。理論的だ。俺が知らないだけで本当にあったらどうしよう。



「くー!」
「はい、くー!」
「九段下の駅を降りて坂道をー!」
「人の流れ追い越して行けばー」
「いいじゃん、いいじゃん。これいいじゃん」
「うん、一瞬いい気がしたけど、物凄い哀しい歌だこれ」
「あ、哀しいの嫌いな方の人?」
「いやそれ以前に状況見ろよ、お前」
「ばっちり状況見て言ってるんだっつーの」
「それが問題なんだっつーの」
「仕方ねぇなぁ。くー!」
「はい、くー!」
「腐りかけた熱い腕を振りほどいて君は出て行くー!」
「歌詞シリーズでまとめようとしてるんだろうけど歌詞違う」



結局そんな、耳障りが良いばっかで本当は嘘なことが一杯あるんだろう。例えば昔に、ぐっすり眠るの「ぐっすり」は「good sleep」から来てるって嘘を付かれた。本気で信じていたし、ぐっすりって言うたびにちょっとだけこっそり英語調に発音したりしてた。思い返すと顔が真っ赤になるので誰か助けて欲しい。つか、あの嘘を付いたのは誰だ。身体に金箔塗っても別に皮膚呼吸できなくなって死んだりとかしないらしいぞ。どっかの頭良さげな推理作家が本文中で皮膚呼吸できないと死ぬ的な発言をさせてて凄く面白かった。あいつは仲間だ。



「れー!」
「はい、れー!」
「レンコンの穴ぐらいなら入るぜオレー!」
「いくらなんでもそんなサイズの奴はいない。次」
「れー!」
「はい、れー!」
「『レイプ願望』って言葉が所有している面白さー!」
「正確には使ってる奴の面白さだけどな。で、だからどうした。次」
「れー!」
「はい、れー!」
「練習セックス消化中ー!」
「下ネタしかないのかよ、お前。次」
「れー!」
「はい、れー!」



それにしても、いつまで続くんだこれ。

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「もういい」
「え?」
「・・・・・・」
「あ、こらおい泣くのとか止めろよ卑怯だぞ」
「卑怯なのはどっちだコラ」
「いやそう言われるとまぁ確かに何も言えないところなわけですが」
「なんか一生懸命になってるのが馬鹿みたいなんだもん」
「いやだからそうゆうところはバランスっていうか」
「どんな平衡感覚を求められてんだよわたしは」
「分かんだろ?なんつーか、こう何となくお前が求められてる立ち位置がさ」
「はー、こんなのがいつまで続くことやら」
「まぁそこはさ。なんていうか、上手いこと付き合ってくれよ」
「・・・え?」
「ん?」
「・・・」
「いやばっか今のは違うって、おい何ニヤけてんだよお前」