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すると彼女はいきなり自分の携帯を思いっきり投げた。こりゃまた綺麗な放物線。行き先は河のド真ん中。ぽちゃんと間の抜けやがった音と共に彼女はこちらを振り返り、にかりと一発 笑いやがった。


膨れっ面だった俺の顔が、ただ単に驚いているだけの人の顔に化けてそりゃさぞかし爽快だったことだろう。現にこうして彼女の思惑通り、俺はさっきまでの剣幕はどこへやら、とっさには訳の分からない言葉しか出てこないだけだった。


「な、な…に?」
「あー、すっきりした」
「お、お前、何やってんだよ、携帯」
「んー?なにがー?」
「いやだって、困るだろ携帯、仕事とか…」
「別に困らないよ」
「は?」
「だって、あんたの番号は憶えてるもん」



しかしまぁ、なんでそんな気持ちよく笑いやがりますかね。