昔からあんまりテレビを見ない子だったのですが、逆にちょっとだけ記憶にある映像などは妙に印象に残っていたりもするもので。子供の頃に安達裕美の「家なき子」ってのがありましたが、あれに俳優の保阪尚希氏が出ていました(出家したってほんとですか)。すごいあやふやな記憶なのですが、確か優しい先生役だった気がします。主人公に辛く当たる大人が多い中で、唯一優しさを見せてくれる保阪氏に、子供ながらに安心したのを良く憶えています。しかしながらあまり真面目に見ていたわけではないので、次にドラマを目にしたのはたぶん数週間後、ストーリーは随分と進んでいました。画面に映った保阪氏は、つい先ごろの記憶にある優しげな目をした彼はどこへやら、そこにはオールバックに鋭い目付きで主人公に対し辛辣な言葉を浴びせる鬼がいました。どうやら優しかった大人からも疎んじられてしまう辛い演出があったようなのですが、これには幼心にかなり驚愕しました。あまりに表情や態度が違い、ただただ困惑しました。と、ここまではいいのです。そこからが今となっては良く分からないのですが、その時に僕は「どうやら髪をオールバックにすると人は性格が変わるらしい」という物凄い着地点に飛びました。どうにも判断に苦しむのですが、どうやら人の心の移ろいのようなものが恐くて、外的要因が欲しくなったのではないかと思います。それを髪型に求めるのもあまりに凄まじい話ですが。そんなわけで、それからしばらくの間はオールバックの人を見るときに何かもやもやしたものを感じていた気がします。いやはや子供ってのは面白いことを考えるもんですね、と綺麗に話をまとめようとしたのですが、いま調べてみた放送年度から逆算すると僕は当時14歳、中学2年生ですね。どうしましょうか、これ。